明日のイベントのサンプルを今さら上げに来ました。
新刊はとこいなの高野あきさんとの源鬼合同誌「司令塔と守護神」
佐久鬼本の「Just the two of us」です。
どちらも18禁なので、身分証のご提示をいただくこともあるかと思いますが
よろしくお願いします。
合同誌は表紙も線画描いただけ、小説もテキストで書いて、
あとは高野さんにまかせっきりという大変おんぶにだっこな感じで
申し訳ないと思いつつも甘えてしまいました。
佐久鬼本の小説サンプルはこの記事のつづきをよむのところから
お読みいただけます。
アニメ106話をベースにした話です。
激情の赴くままに書いたので、自分で読み返して勢いだけはあると思いました。
(微妙な自己評価)
それでは明日に備えて寝ます。おやすみなさい!
※11/23佐久鬼新刊「Just the two of us」サンプルです
『なぁ。絶対に鬼道の手を離すなよ。うざがられてもずっと側にいろ』
「お前な……オレをなんだと思ってるんだ」
心外だという口調の佐久間に、源田は「くっくっ」と笑いを漏らした。
『お前、鬼道を手に入れるまでは、そんなんだったじゃないか。鬼道が困った顔してもお構いなしでつきまとって』
「ぐっ! ……悪かったな」
すると、源田の口調は真剣なものに変わる。
『そうじゃない、悪かったわけじゃない』
「?」
『そうやってお前は鬼道を自分のものにしたんじゃないか。それなら離すなよ、絶対に』
「……」
『真・帝国で闇に囚われたオレたちに、鬼道は光を見せてくれた。だから今度はオレ達が、いやお前が鬼道を支えるんだ。』
「ああ。……源田」
『ん?』
「ありがとな」
『ああ、じゃあな』
電話を切ったときには少し気が楽になっていたようだ。霧が晴れたような気分で携帯電話を閉じると、突然背後から声がかかった。
「帰ってきたぜ」
「え?」
振り返れば不動が立っていた。どこか憮然とした様子を見せながら、顎で窓の外を示す。
促された方向に目を向ければ、円堂に続いて鬼道が車から降りてくるところだった。
鬼道は何事かを円堂に話しかけながら、時折笑顔を浮かべている。むしろ円堂の顔色の方が悪く見えるほどだ。
すると不動は「ちっ」と忌々しげに舌打ちした。
「あんな……無理して笑いやがって」
その言葉に佐久間は「ふっ」と肩を震わせた。不動も、自分と同じように鬼道の帰りを待っていたのだと思うと少し嬉しかった。一方で不動は何を笑っているのだとイライラした様子で噛み付いてきた。
「なんだよ」
「いや? お前、意外と鬼道のことわかってるよなーと思ってさ」
「うるせぇ! 早く行って鬼道クン支えてやれよ。今そんな話してたんじゃねぇの?」
「お前に言われるまでもない」
「はっ、そうかよ」
すくっと佐久間は立ち上がった。その背に向かって声が投げかけられる。
「あのよ」
「え?」
「オレも口喧嘩する相手が元気ねぇとつまんねぇからよ」
それが不動なりの精一杯の気遣いの言葉なのだろう。佐久間は「ああ」と力強く頷き、外へ飛び出した。
「鬼道!」
「……佐久間?」
鬼道はどこか呆然としたように佐久間を見た。
その声にはいつものような覇気は感じられない。マントに覆われた華奢な身体は、いつもより一層小さく見えた。
佐久間は無言で鬼道の手を取り、円堂に顔を向けた。
「円堂、鬼道を早く部屋で休ませたいんだ」
それだけ言うと、円堂もわかったと頷いた。
「ああ、そうだな」
慌てたのは鬼道だ。
困ったように佐久間と円堂を交互に見る。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。オレはこれから今日のイタリア戦のビデオを見返して、今後の試合のために戦力の分析をしたいんだが……」
すると、円堂が「だめだ」ときっぱり言い、鬼道の肩を叩いた。
「鬼道、キャプテン命令だ。部屋に帰って今日は休め」
「円堂っ!」
「頼むよ、鬼道。休んでくれ」
「……わかった」
鬼道はやや納得いかないようだが、懇願するような円堂の物言いに気圧され、渋々頷いた。
円堂と佐久間は無言で目を合わせた。「頼む」と言われているのがわかって佐久間は頷く。
そっと鬼道の手を引いた。
「さ、鬼道。行こう」
「ああ。じゃあな円堂」
「おやすみ鬼道、佐久間」
ジャパン宿舎では、佐久間と鬼道は同室だ。
手を引いて部屋に戻った佐久間は、鬼道をベッドに座らせると、部屋に備え付けの風呂に湯を張った。
普段は宿舎の大浴場を使わなければいけないのだが、今日くらいは許されるだろう。そう思いながら。
悪いと思いながらも、鬼道の荷物を漁って下着とパジャマを取り出す。その様子を鬼道は咎めもせずに、ただぼんやりと眺めていた。
「鬼道。ほら、お風呂入って来い」
「ん?」
鬼道は言葉が理解できなかったのか不思議そうに小首を傾げる。
佐久間は鬼道の前に膝まずき、両手を取ると「お風呂」と繰り返した。
「今、半分くらいまでお湯溜まったから。少しゆっくり入って、暖まってくるといい」
「あ……ああ」
頷きながら酷く緩慢な仕草で立ち上がった。
ふらふらとバスルームに入っていく鬼道を見て、佐久間はため息をついた。
(円堂や久遠監督の前では頑張ってたけど、やっぱり相当動揺してるみたいだ……)
早く休ませてやらなければ。そう思いながら佐久間はベッドをキレイにメイキングし、その足で食堂へ行き、牛乳を温めてから戻ってきた。
しかし、万全の準備をして待っているにも関わらず、鬼道がバスルームから上がってくる気配はない。それどころかシャワーの音が止むことなくずっと続いているのに気づいて、知らず嫌な予感を覚える。
悪いと思いながらも脱衣場に入って様子を伺うと、鬼道の脱いだジャージや下着、ゴーグルが無造作に散らばっていた。几帳面な鬼道は、今までどんな状況下でも服を脱ぎ散らかすようなことはなかった。今はそんな余裕もないということか、佐久間は顔を顰める。
思い切ってドアを叩いて名を呼んだ。
「鬼道!」
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※11/23佐久鬼新刊「Just the two of us」サンプルです
『なぁ。絶対に鬼道の手を離すなよ。うざがられてもずっと側にいろ』
「お前な……オレをなんだと思ってるんだ」
心外だという口調の佐久間に、源田は「くっくっ」と笑いを漏らした。
『お前、鬼道を手に入れるまでは、そんなんだったじゃないか。鬼道が困った顔してもお構いなしでつきまとって』
「ぐっ! ……悪かったな」
すると、源田の口調は真剣なものに変わる。
『そうじゃない、悪かったわけじゃない』
「?」
『そうやってお前は鬼道を自分のものにしたんじゃないか。それなら離すなよ、絶対に』
「……」
『真・帝国で闇に囚われたオレたちに、鬼道は光を見せてくれた。だから今度はオレ達が、いやお前が鬼道を支えるんだ。』
「ああ。……源田」
『ん?』
「ありがとな」
『ああ、じゃあな』
電話を切ったときには少し気が楽になっていたようだ。霧が晴れたような気分で携帯電話を閉じると、突然背後から声がかかった。
「帰ってきたぜ」
「え?」
振り返れば不動が立っていた。どこか憮然とした様子を見せながら、顎で窓の外を示す。
促された方向に目を向ければ、円堂に続いて鬼道が車から降りてくるところだった。
鬼道は何事かを円堂に話しかけながら、時折笑顔を浮かべている。むしろ円堂の顔色の方が悪く見えるほどだ。
すると不動は「ちっ」と忌々しげに舌打ちした。
「あんな……無理して笑いやがって」
その言葉に佐久間は「ふっ」と肩を震わせた。不動も、自分と同じように鬼道の帰りを待っていたのだと思うと少し嬉しかった。一方で不動は何を笑っているのだとイライラした様子で噛み付いてきた。
「なんだよ」
「いや? お前、意外と鬼道のことわかってるよなーと思ってさ」
「うるせぇ! 早く行って鬼道クン支えてやれよ。今そんな話してたんじゃねぇの?」
「お前に言われるまでもない」
「はっ、そうかよ」
すくっと佐久間は立ち上がった。その背に向かって声が投げかけられる。
「あのよ」
「え?」
「オレも口喧嘩する相手が元気ねぇとつまんねぇからよ」
それが不動なりの精一杯の気遣いの言葉なのだろう。佐久間は「ああ」と力強く頷き、外へ飛び出した。
「鬼道!」
「……佐久間?」
鬼道はどこか呆然としたように佐久間を見た。
その声にはいつものような覇気は感じられない。マントに覆われた華奢な身体は、いつもより一層小さく見えた。
佐久間は無言で鬼道の手を取り、円堂に顔を向けた。
「円堂、鬼道を早く部屋で休ませたいんだ」
それだけ言うと、円堂もわかったと頷いた。
「ああ、そうだな」
慌てたのは鬼道だ。
困ったように佐久間と円堂を交互に見る。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。オレはこれから今日のイタリア戦のビデオを見返して、今後の試合のために戦力の分析をしたいんだが……」
すると、円堂が「だめだ」ときっぱり言い、鬼道の肩を叩いた。
「鬼道、キャプテン命令だ。部屋に帰って今日は休め」
「円堂っ!」
「頼むよ、鬼道。休んでくれ」
「……わかった」
鬼道はやや納得いかないようだが、懇願するような円堂の物言いに気圧され、渋々頷いた。
円堂と佐久間は無言で目を合わせた。「頼む」と言われているのがわかって佐久間は頷く。
そっと鬼道の手を引いた。
「さ、鬼道。行こう」
「ああ。じゃあな円堂」
「おやすみ鬼道、佐久間」
ジャパン宿舎では、佐久間と鬼道は同室だ。
手を引いて部屋に戻った佐久間は、鬼道をベッドに座らせると、部屋に備え付けの風呂に湯を張った。
普段は宿舎の大浴場を使わなければいけないのだが、今日くらいは許されるだろう。そう思いながら。
悪いと思いながらも、鬼道の荷物を漁って下着とパジャマを取り出す。その様子を鬼道は咎めもせずに、ただぼんやりと眺めていた。
「鬼道。ほら、お風呂入って来い」
「ん?」
鬼道は言葉が理解できなかったのか不思議そうに小首を傾げる。
佐久間は鬼道の前に膝まずき、両手を取ると「お風呂」と繰り返した。
「今、半分くらいまでお湯溜まったから。少しゆっくり入って、暖まってくるといい」
「あ……ああ」
頷きながら酷く緩慢な仕草で立ち上がった。
ふらふらとバスルームに入っていく鬼道を見て、佐久間はため息をついた。
(円堂や久遠監督の前では頑張ってたけど、やっぱり相当動揺してるみたいだ……)
早く休ませてやらなければ。そう思いながら佐久間はベッドをキレイにメイキングし、その足で食堂へ行き、牛乳を温めてから戻ってきた。
しかし、万全の準備をして待っているにも関わらず、鬼道がバスルームから上がってくる気配はない。それどころかシャワーの音が止むことなくずっと続いているのに気づいて、知らず嫌な予感を覚える。
悪いと思いながらも脱衣場に入って様子を伺うと、鬼道の脱いだジャージや下着、ゴーグルが無造作に散らばっていた。几帳面な鬼道は、今までどんな状況下でも服を脱ぎ散らかすようなことはなかった。今はそんな余裕もないということか、佐久間は顔を顰める。
思い切ってドアを叩いて名を呼んだ。
「鬼道!」
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