11/23はとこいなの高野あきさんと合同サークル
「とこいな+わわんた」で参加します。
スペースナンバーはN39です。
新刊の予定が、佐久鬼の24歳バージョンのR18合同誌で、
タイトルが「Un raggio visibile(可視光線)」です。
私は16Pの小説1本と、11Pのマンガを描きました。
高野さんの方は小説2本(7Pと25P)書かれているので、
全部で4本の佐久鬼のR18作品詰め合わせになります。
自分自身の書いたものに関しては、
いっしょうけんめいやりました!! としか言いようがないのですが
高野さんの小説はすでに読ませていただいてて、
ものすごい佐久鬼クロニクルみたいな濃い話でした!ひゃっほう!
良かったらお立ち寄りいただければ嬉しいです。
つづきはこちらの先に、いぬのの小説サンプル載せておきます。
(PIXIVに載せてるのよりも若干長めです)
拍手ありがとうございました。
GOになっても鬼道さんの感想ばかりですが、楽しんでいただければ嬉しいです!
「天皇杯なら昨日の夜にやった4回戦で負けた」
「負け……た?」
ぽかんと口を開けて鬼道は黙り込む。「なんで?」と言いたげな表情に、佐久間はあわあわと言い訳するように言葉を続けた。
「お、オレは先制点決めたんだぜ! ただ途中でウチのキーパーがペナルティエリアの外でボールを手で掴んで一発退場になったんだ。しかも交代枠を使い切ってたせいで、交代が出せなくて。んでロスタイムに2失点」
「それはそれは……」
交代のセカンドキーパーが出せないなら、フィールドプレイヤーの誰かが代わりを努めるしかない。だが、キーパーなんて一朝一夕にできるポジションではない。
その光景を想像して、鬼道は「ははぁ……」と唸った。思わずそれは監督の采配ミスだと口にしそうになり、慌てて口を噤む。部外者が余計なことを言うべきではないだろう。
佐久間は「まぁ、相手を舐めて交代枠使い切ってた監督のせいだけど」と気持ちを代弁するかのようにそう言い、両手を広げ「呆れた」というジェスチャーをした。
「試合終わってすぐこっち来たから、鬼道が結果知らないのも当然かもな。……まぁ、そんな訳で。オフの間ここに住まわせてくれよ。こっちはまだリーグ戦の最中で忙しいだろうから、鬼道の代わりに料理とか洗濯とかするし。で、もう少ししたら、こっちはクリスマス休暇に入るだろ? そしたら一緒にゆっくりしようぜ」
それまでは家政夫みたく扱ってくれたらいいから、と陽気に言う佐久間に鬼道は小さくなった。
「すまなかった」
「なにが?」
「さっきエントランスで勘違いして怒鳴ってしまった」
「別にいいって、オレも驚かせようと連絡しないで来て悪かったし」
全く気にしていないという様子の佐久間に、鬼道は小さくため息をついた。
考えてみればいつもこんな感じだ。鬼道が自分本意に振り回すだけ振り回して、妥協するのはいつも佐久間だ。中学生のときからずっと。
とどのつまり、佐久間の好意を当てにしてわがまま放題しているだけなのだ。大人になった今でさえ。
そう思うと鬼道は少し自分にがっかりした。
「なんだよ、落ち込んでるのか?」
佐久間に図星を突かれ、鬼道は「ぐうっ」と唸り声を上げた。虚勢を張るように言う。
「別に落ち込んでなどいない」
「ならいいけど」
それ以上余計なことは言わず、佐久間はよしよしと鬼道の頭を撫で、話を切り上げた。
これ以上気持ちが沈まないように気を遣ってくれたのだと気づいて、鬼道は心の中で感謝する。
佐久間には時々こういうことがある。
まるで鬼道の思考が読めるみたいに正確に、気持ちを汲んでくれるようなことが。
だからもう無駄な抵抗はしない。会いたかったいう気持ちも隠さない。甘えるように佐久間に寄りかかり、その手が優しく自分を撫でるに任せた。
しばらくうっとりと目を閉じてそうしていたが、ふと重大なことを思い出して、鬼道ははっと顔を上げた。
「お前! 食事はどうしたんだ? 飛行機の中で何か食べたのか?」
「あー、一応機内食は」
確か日本からイタリアまで、飛行機でも12・3時間かかるはずだ。それで機内食だけでは腹が減っただろう。
鬼道は立ち上がりキッチンに足を向けた。
「腹減っただろう? 待ってろ、今何か作る」
「いいよ、別に気を遣わなくても。何ならその辺に食べに行ってもいいし」
機内食もそこそこボリュームあったからという言葉に振り返り、鬼道は床に転がっているビニール袋を指差した。雑に置いたせいで、中身のたまねぎやらじゃがいもやらがビニール袋から顔を覗かせていた。
「オレも食事まだなんだ」
「ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」
律儀にお辞儀をした佐久間に、鬼道も深々とお辞儀をして返した。皿を重ねて立ち上がると、佐久間が手伝おうと腰を浮かせたので「座ってろ」と制した。
佐久間もそれ以上は何も言わず、ソファーに深々と腰掛けると満足そうな声を上げた。
「まさかイタリア来て早々に、鬼道の手作り料理を食べられるとはな」
「もっと早くに連絡くれたら、お前の好きなものを作れたんだがな」
いいところを見せたかったというわけではないが、さすがにカレーはお手軽すぎた。しかも、面倒だしどうせひとりだからと市販の固形カレールーだったし。明日絶対にリベンジしようと、いくつか佐久間の好きな料理を頭に思い浮かべながらコーヒーを淹れた。
「ほら」
「おっ、サンキュー」
マグカップを渡しながらちょこんと隣に座った鬼道に、佐久間は怪訝な目を向けた。
「あれっ、食器洗わなくていいのか? いつも食べてすぐに洗わないと、汚れがこびりつくとか言うくせに」
「いい。せっかく久しぶりにお前いるんだし」
そんなことよりも今は佐久間と時間を過ごしていたい。
らしくない行動をとってしまうほどキてたんだなと、鬼道は俯き自嘲気味に笑う。
(いや。フィディオとデモーニオにあてられたんだ)
見上げると、やや困惑した瞳と目が合った。カップをテーブルに置き、胸に手を当て懇願するように見つめると、佐久間は躊躇いがちに鬼道の手を取り、唇に小さく触れるだけのキスを落とした。
「……ぁ」
それだけ? と言いたげに瞳を揺らす鬼道に、佐久間が困ったように微笑む。
今日はその気はないのだろうか。淋しかったのは自分だけかと不安を覚えて俯くと、鬼道の頭頂部へ微かに唇が触れた。
「明日も練習なんだろ? 身体に障るから今日はこれで終わりな」
心配してくれていただけかと鬼道は安堵した。
それから思い切って自分から佐久間の首に両腕を回し、首筋に吸いつく。跡がつくほどきつく。佐久間は慌てて身体を離し、真っ赤になりながら首をおさえた。
「きど…おま……っ! オレが自重してるのに」
「残念だな。明日はオフだ」
「な……っ」
佐久間はこれ以上ないほど驚いたというようにぽかんと口を開け鬼道を凝視した。
「だから……な?」
誘うような瞳で見上げると、今度は佐久間も拒絶したりしなかった。鬼道の背に手を回し、ゆっくりとソファーにその身体を押し倒した。
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「天皇杯なら昨日の夜にやった4回戦で負けた」
「負け……た?」
ぽかんと口を開けて鬼道は黙り込む。「なんで?」と言いたげな表情に、佐久間はあわあわと言い訳するように言葉を続けた。
「お、オレは先制点決めたんだぜ! ただ途中でウチのキーパーがペナルティエリアの外でボールを手で掴んで一発退場になったんだ。しかも交代枠を使い切ってたせいで、交代が出せなくて。んでロスタイムに2失点」
「それはそれは……」
交代のセカンドキーパーが出せないなら、フィールドプレイヤーの誰かが代わりを努めるしかない。だが、キーパーなんて一朝一夕にできるポジションではない。
その光景を想像して、鬼道は「ははぁ……」と唸った。思わずそれは監督の采配ミスだと口にしそうになり、慌てて口を噤む。部外者が余計なことを言うべきではないだろう。
佐久間は「まぁ、相手を舐めて交代枠使い切ってた監督のせいだけど」と気持ちを代弁するかのようにそう言い、両手を広げ「呆れた」というジェスチャーをした。
「試合終わってすぐこっち来たから、鬼道が結果知らないのも当然かもな。……まぁ、そんな訳で。オフの間ここに住まわせてくれよ。こっちはまだリーグ戦の最中で忙しいだろうから、鬼道の代わりに料理とか洗濯とかするし。で、もう少ししたら、こっちはクリスマス休暇に入るだろ? そしたら一緒にゆっくりしようぜ」
それまでは家政夫みたく扱ってくれたらいいから、と陽気に言う佐久間に鬼道は小さくなった。
「すまなかった」
「なにが?」
「さっきエントランスで勘違いして怒鳴ってしまった」
「別にいいって、オレも驚かせようと連絡しないで来て悪かったし」
全く気にしていないという様子の佐久間に、鬼道は小さくため息をついた。
考えてみればいつもこんな感じだ。鬼道が自分本意に振り回すだけ振り回して、妥協するのはいつも佐久間だ。中学生のときからずっと。
とどのつまり、佐久間の好意を当てにしてわがまま放題しているだけなのだ。大人になった今でさえ。
そう思うと鬼道は少し自分にがっかりした。
「なんだよ、落ち込んでるのか?」
佐久間に図星を突かれ、鬼道は「ぐうっ」と唸り声を上げた。虚勢を張るように言う。
「別に落ち込んでなどいない」
「ならいいけど」
それ以上余計なことは言わず、佐久間はよしよしと鬼道の頭を撫で、話を切り上げた。
これ以上気持ちが沈まないように気を遣ってくれたのだと気づいて、鬼道は心の中で感謝する。
佐久間には時々こういうことがある。
まるで鬼道の思考が読めるみたいに正確に、気持ちを汲んでくれるようなことが。
だからもう無駄な抵抗はしない。会いたかったいう気持ちも隠さない。甘えるように佐久間に寄りかかり、その手が優しく自分を撫でるに任せた。
しばらくうっとりと目を閉じてそうしていたが、ふと重大なことを思い出して、鬼道ははっと顔を上げた。
「お前! 食事はどうしたんだ? 飛行機の中で何か食べたのか?」
「あー、一応機内食は」
確か日本からイタリアまで、飛行機でも12・3時間かかるはずだ。それで機内食だけでは腹が減っただろう。
鬼道は立ち上がりキッチンに足を向けた。
「腹減っただろう? 待ってろ、今何か作る」
「いいよ、別に気を遣わなくても。何ならその辺に食べに行ってもいいし」
機内食もそこそこボリュームあったからという言葉に振り返り、鬼道は床に転がっているビニール袋を指差した。雑に置いたせいで、中身のたまねぎやらじゃがいもやらがビニール袋から顔を覗かせていた。
「オレも食事まだなんだ」
「ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」
律儀にお辞儀をした佐久間に、鬼道も深々とお辞儀をして返した。皿を重ねて立ち上がると、佐久間が手伝おうと腰を浮かせたので「座ってろ」と制した。
佐久間もそれ以上は何も言わず、ソファーに深々と腰掛けると満足そうな声を上げた。
「まさかイタリア来て早々に、鬼道の手作り料理を食べられるとはな」
「もっと早くに連絡くれたら、お前の好きなものを作れたんだがな」
いいところを見せたかったというわけではないが、さすがにカレーはお手軽すぎた。しかも、面倒だしどうせひとりだからと市販の固形カレールーだったし。明日絶対にリベンジしようと、いくつか佐久間の好きな料理を頭に思い浮かべながらコーヒーを淹れた。
「ほら」
「おっ、サンキュー」
マグカップを渡しながらちょこんと隣に座った鬼道に、佐久間は怪訝な目を向けた。
「あれっ、食器洗わなくていいのか? いつも食べてすぐに洗わないと、汚れがこびりつくとか言うくせに」
「いい。せっかく久しぶりにお前いるんだし」
そんなことよりも今は佐久間と時間を過ごしていたい。
らしくない行動をとってしまうほどキてたんだなと、鬼道は俯き自嘲気味に笑う。
(いや。フィディオとデモーニオにあてられたんだ)
見上げると、やや困惑した瞳と目が合った。カップをテーブルに置き、胸に手を当て懇願するように見つめると、佐久間は躊躇いがちに鬼道の手を取り、唇に小さく触れるだけのキスを落とした。
「……ぁ」
それだけ? と言いたげに瞳を揺らす鬼道に、佐久間が困ったように微笑む。
今日はその気はないのだろうか。淋しかったのは自分だけかと不安を覚えて俯くと、鬼道の頭頂部へ微かに唇が触れた。
「明日も練習なんだろ? 身体に障るから今日はこれで終わりな」
心配してくれていただけかと鬼道は安堵した。
それから思い切って自分から佐久間の首に両腕を回し、首筋に吸いつく。跡がつくほどきつく。佐久間は慌てて身体を離し、真っ赤になりながら首をおさえた。
「きど…おま……っ! オレが自重してるのに」
「残念だな。明日はオフだ」
「な……っ」
佐久間はこれ以上ないほど驚いたというようにぽかんと口を開け鬼道を凝視した。
「だから……な?」
誘うような瞳で見上げると、今度は佐久間も拒絶したりしなかった。鬼道の背に手を回し、ゆっくりとソファーにその身体を押し倒した。
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